第3章
レノン視点
真夜中を回った直後、サリバンからメールが届く。内容は簡潔かつ単刀直入だった。
「レノンさん、話の通りなら証拠がいる。本物の証拠が」
私はすぐにフライトを予約した。
三日前、カラムは「ロサンゼルスで重要な商談がある」と言っていた。今日戻る予定だという。私は共同名義のクレジットカードの明細画面を開き、探していたものを見つけ出す。ビバリー・ウィルシャー・ホテル。ラグジュアリー・スイート。二泊だ。
朝の七時に現地に到着し、タクシーでホテルへ直行する。大理石のロビーに立ち尽くしていると、自分の行動に思わず笑いがこみ上げてきた。結婚して五年、こんなことをするのは初めてだ。夫の追跡。ホテルの宿泊記録の確認。まるで安っぽいテレビドラマの使い古されたシーンみたいだ。だが、私は被害妄想に陥っているわけではない。ただ、真実が欲しいだけなのだ。
通りかかったコンシェルジュを呼び止める。
「すみません、カラム・スターリングの部屋を教えていただけますか? 妻なのですが、彼を驚かせたくて」
私は免許証を提示する。若いコンシェルジュは迷いを見せたが、すぐに端末を確認してくれた。
「808号室です。ですが、スターリング様はダブルのスイートをご予約で、同伴者の方が——」
「ええ、知っています」私は彼の言葉を遮った。「ありがとう」
エレベーターが見えるロビーのソファに席を取り、コーヒーを注文する。そして、ただ待った。八時半、エレベーターのドアが開く。カラムとセレストが降りてきた。二人ともホテルの白いバスローブを身にまとっている。まるでシャワーを浴びた直後のように、二人の髪は濡れていた。何かについて笑い合い、彼女の手は彼の腕に絡められている。その様子はあまりに快適そうで、慣れ親しんだ、自然なものだった。まるで、これまでに何百回もそうしてきたかのように。
私はスマートフォンを構え、写真を撮り始める。あらゆる角度から。あらゆる親密な仕草を。そして立ち上がり、彼らのほうへと歩み寄った。
「おはよう」
カラムが勢いよく振り返る。彼の表情が、リラックスしたものから驚愕へと一瞬で変わる。
「レノン? ここで何してるんだ?」
「商談?」私は皮肉っぽく彼のバスローブに目をやった。「ずいぶんラフな格好で商談するのね」
セレストは彼から腕を離したが、その顔には笑顔を貼り付けたままだ。
「レノン、あなたもロサンゼルスにいたの? 一言言ってくれればよかったのに。そうすれば私たちみんなで——」
「三人仲良くシャワーでも浴びるつもりだった?」
彼女の笑顔が凍りつく。カラムが慌てて割って入る。
「君は完全に誤解している。昨夜遅くまで仕事の話をしていて、疲れたからホテルのジムでひと泳ぎして——」
「それで、水泳後のシャワーを快適にするために、わざわざダブルのスイートを予約したってわけ?」
「なんだ、そのトゲのある言い方は」彼の声に苛立ちが混じる。「俺たちは同僚だぞ。仕事で一緒に行動するのはごく普通のことだろう」
「バスローブ姿でホテルのロビーをうろつき回るのも、普通のことなの?」
周囲の人々がこちらに気づき始める。ひそひそ話す声。向けられるスマートフォンのレンズ。カラムが私の腕を掴み、静かな隅へと引っ張ろうとする。
「やめろよ。こんな大勢の前で——」
私は力任せに腕を振りほどいた。
「今度は私のことを何て呼ぶつもり? 被害妄想? 頭がおかしい? 理解力がない? さあ、言ってみなさいよカラム。好きな言葉を選べばいいじゃない」
「本当にただの出張なんだ」彼は必死に主張する。「あのネックレスの件だってただの偶然だ。あれはずっと前、大学で出会った頃にセレストが俺にくれたもので、それは——」
彼は言葉を止めた。自分が何を口走ったのか、気づいたのだ。セレストの表情も変わる。
「大学時代の、贈り物」私はゆっくりと繰り返した。「じゃあ、あのネックレスは彼女からのプレゼントだったの? 私たちが結婚するよりも前に?」
沈黙が落ちる。
「言い間違いだ」カラムがしどろもどろになる。「今のは——」
「もう、白々しいことはやめましょう」
セレストの声から甘さが消え失せた。
「レノン、あなたがここに来てしまった以上、はっきり言わせてもらうわ。ええ、カラムと私は親密よ。とてもね。でもそれが何? 私たちは仕事のパートナー。クリエイティブなパートナーなの。芸術には、心からの真のつながりが必要だということは、あなたにも理解できるはずよ」
「クリエイティブ・パートナーね。つまり、寝てるってこと?」
「レノン!」カラムが激昂する。「なんて下品なことを言うんだ」
「質問に答えて」
「してない」彼は吐き捨てるように言った。「親しいだけだ。だが一線は越えてない」
「じゃあ、昨日の夜、同じ部屋で何をしていたの?」
「仕事だよ!」
「バスローブ姿で?」
「泳いだ後だったから——」
「もういい」
私はきびすを返した。背後からセレストの声が追いかけてくる。
「レノン、そんなに惨めなら離婚すればいいじゃない。あなたがカラムと一緒にいるのは、彼があなたの曲を必要としてるからでしょ? 会社も安定したんだし、二人とももう前に進んだら?」
私は足を止め、振り返った。勝利の優越感に浸る、完璧にメイクされた彼女の顔を見据える。
「提案ありがとう。考えておくわ」
エレベーターのボタンを押す。手の震えが止まらない。ドアが開くと、中にはカメラバッグを持った三十代の女性が一人乗っていた。彼女は私を見て、目を丸くした。
「嘘でしょ。あなた、レノン・ライトさんですよね?」
私は凍りついた。
「大ファンなんです! 五年前にイースト・ナッシュビルのライブに行きました。レノンさんが歌った『サテライト』……あの曲に、私は本当に救われたんです」
涙が目に滲む。私はそれを必死にこらえた。
「どうして音楽を辞めちゃったんですか?」彼女は興奮気味に、そして心から不思議そうに話し続ける。「次のアルバムをずっと待ってたのに、レノンさんは消えてしまった。インスタの更新も止まって」
エレベーターのドアが閉まる。私は壁にもたれかかった。急激な疲労感が押し寄せてくる。
「結婚したの」
「ああ」彼女は微笑んだ。「おめでとうございます。でも、まだ曲は作ってますよね? あんなに才能があるんだから——」
「どうかしら」
エレベーターがロビーに着く。彼女は降りようとして、ふと振り返った。
「いつかまた、レノンさんの歌が聴けることを願ってます。本当に。世界はレノンさんの声を必要としてますから」
ドアが閉まる。私は一人きりになり、鋼鉄の扉にぼんやりと映る自分の姿を見つめた。五年。誰かに気づいてもらえてから、五年が経っていた。なぜ辞めたのかと問われてから、五年。その答えは、私自身も知りたかった。いつから私はレノン・ライトではなく、「カラムの妻」になったのだろう? いつから私の名前は、著作権クレジットの隅にある極小の文字になってしまったのだろう? いつから私は、これらすべてを受け入れてしまったのだろう?
八階でドアが開く。私は自分の部屋へと歩き——そう、彼とは戻らないから自分の部屋を取ったのだ——ノートパソコンを取り出した。録音ソフトを開き、ギターの弦に指を置く。五年ぶりに、私は自分のために曲を書き始めた。カラムのためでも、スターリング・レコードのためでも、他の誰のためでもない。ただ、自分のために。
「あなたは私を押し込めて小さくし、名前を奪った。それを愛と呼んだけれど、ただの屈辱でしかなかった……」
泣きながら、私は書き続けた。三時間後、一曲が完成した。『ゴーストライター』。誰かの影に隠れている人間の歌。みんなに忘れ去られた人間の歌だ。
デモを保存してスマートフォンを見ると、カラムから八件の不在着信があった。メッセージも山のように届いている。「どこにいるんだ?」「話し合おう」「馬鹿な真似はするな」「説明させてくれ」最後の一通は一時間前に来ていた。「午後八時のナッシュビル行きの便を予約した。来るか?」
時刻はもう六時だ。私は返信を打つ。
「いいえ。自分の力で帰ります」
そして電源を切り、ベッドに横たわって天井を見つめた。
再び電話が鳴る。違う番号だ。
「もしもし?」
「ライトさんですか?」看護師の声だ。「セント・トーマス病院です。先週受けていただいた検査の結果が出ました」
「え?」
「血液検査の結果、妊娠されています。六週目くらいですね。おめでとうございます」
「ありがとうございます」と答える自分の声が聞こえ、電話が切れた。私はふらりと窓辺に歩み寄り、ロサンゼルスの街並みを見下ろした。夕陽が沈みかけている。それは空一面を、血のような赤に染め上げていた。
