第4章
レノン視点
ナッシュビルに戻ったのは翌日のことだった。朝六時に着陸し、自宅ではなく、そのまま車を走らせて病院へ向かう。
医師が超音波検査の画面を指差す。「妊娠六週と三日ですね。見えますか? ここです」
私は小さな黒い点をじっと見つめる。あまりに小さくて、それと分かるのがやっとだ。
「胎児は順調に育っていますよ」彼女は温かく、かつ専門的な口調で続ける。「おめでとうございます、スターリングさん。初めての妊娠ですから、十分な休息を取って、ストレスを避けてくださいね……」
ストレス。思わず笑いそうになった。
「お父様に連絡しましょうか?」看護師が微笑みながら尋ねてくる。「最初のエコーを見たがるお父さん、多いんですよ」
「いいえ、彼は忙しいので」私の口から出た言葉は、どこまでも平坦だった。
その後、私は病院の廊下のベンチに座り、印刷された検査報告書を手にしていた。あの小さな黒い点の、白黒の画像。六週と三日。スマホを取り出し、日付をさかのぼって数えてみる。カラムの誕生日。あれはちょうど六週間前だ。彼がいつも「疲れている」「ストレスが溜まっている」と言い訳ばかりで、もう何ヶ月も夫婦生活はなかった。でもあの夜、彼は少し酒が入っていて、機嫌が良さそうだった。私はそれが何か意味のあることだと思ったのだ。もしかしたら、やり直せるかもしれないと。
その翌日、彼はまた出張に行った。セレストと一緒に。
私は報告書を折り畳んでバッグに滑り込ませ、車で家に向かった。車庫には既にカラムの車が停まっている。彼はずっと待っていたのだ。
リビングに入ると、彼はソファに座っていた。一睡もしていないような顔だ。スーツは皺だらけで、目は充血している。
「やっと帰ってきたか」彼が立ち上がる。「レノン、話があるんだ」
「何の話? セレストとの運命の絆について?」
「俺たちは何も……」私が妊娠の検査報告書を取り出し、コーヒーテーブルに置くと、彼は言葉を詰まらせた。
彼はそれを見下ろした。その表情が次々と変わっていく。最初は驚愕。そして次に浮かんだのは、パニックのような何かだった。
「妊娠してるのか?」
「六週目よ」
重苦しい沈黙が流れる。私は彼が何か言うのを待った。「おめでとう」とか、「嬉しい」とか。たとえ嘘でもいいから、喜ぶふりくらいしてほしかった。だが彼は、まるで請求書でも見るかのように、ただその紙を凝視しているだけだ。
「今なのか?」彼の声は小さかった。「どうして今なんだ?」
「え?」
「レノン、会社が今、資金調達の重要な時期だって知ってるだろ。タイミングが悪すぎる」
タイミング。彼は私たちの子供のことを、まるで新製品の発表か何かのように語っている。
「そういう意味じゃない」彼はこめかみを押さえた。「俺たちがまだ準備できてないってことだ。俺自身も」
「いつになったら準備できるの? 資金調達が終わったら? セレストがあなたを必要としなくなったら?」
彼の表情が硬くなった。「何でもかんでも彼女のせいにするなよ。これは俺たちの問題だ」
「じゃあ何が問題なの? はっきり言ってよ、カラム。本当はどうしたいの?」
彼は顔を背け、窓の方を向いた。「選択肢を……考えたほうがいいんじゃないか」
「何の選択肢?」
「子供のことだ」彼の声が低くなる。「今はその時期じゃないのかもしれない」
全身の血の気が引いていく。「おろせって言うの?」
「はっきりそうとは言ってない……」
「そういう意味でしょ」
「レノン、冷静になれよ」彼は振り返り、私の手に触れようとする。私はそれを振り払った。「考えてもみろ。今、俺たちの関係はぎくしゃくしてる。君は俺とセレストのことを疑ってるし、俺は俺で、君が俺の受けているプレッシャーを理解してくれていないと感じてる。こんな状況で子供を作るなんて、誰のためにもならない」
「じゃあ、私のせいなの?」
「君のせいだなんて言ってない。今の状況下では、子供を持つのは正しい選択じゃないと言ってるんだ。俺たちの問題が解決したら……」
「セレストとの火遊びが終わったら? 自分に妻がいることを思い出したら?」
「よくそんなことが言えるな!」彼が声を張り上げる。「俺は君を裏切ったことなんて一度もない!」
「じゃあ、昨日のホテルの件を説明してよ」
「言っただろ、あれは仕事だったんだ!」
「お揃いのバスローブを着て?」
「泳ぎに行っただけだ!」
「ダブルのスイートルームで」
私たちは二人とも肩で息をしながら、コーヒーテーブル越しに睨み合った。やがて、彼が声を和らげる。「少し落ち着こう、な? 最近、君をないがしろにしていたのは分かってる。これからは改めるって約束するよ。でも、子供のことは……もう少し考えてくれないか?」
私は彼を見つめる。五年前、あの小さなメキシコ料理店でタコスを食べながら結婚を誓った男。彼のことは分かっているつもりだった。愛されていると思っていた。でも今は、何一つ確信が持てない。
「今夜、空いてるか?」彼が尋ねる。「カップルカウンセリングに行こう。俺たちの将来について、ちゃんと話し合うために」
俺たちの将来。笑わせる。
「いいわ」私は言った。「話し合いましょう、私たちの未来について」
だが、その日の午後五時、彼からメッセージが届いた。「悪い、急用が入った。テネシー・ミュージック・アワードだ。どうしても顔を出さないといけない。カウンセリングは延期させてくれ」
私はソファに座り、そのメッセージを見つめた。もう怒りすら湧いてこない。ただ疲れた。ひどく疲れただけだ。
その時、サリバンから電話がかかってきた。「レノンさん、分かったことがある」
「何?」
「スターリングさんは、法的な準備を進めていたようだ。三か月前から弁護士に相談している。著作権の保護と、夫婦間の財産分与についてな」
部屋が少し傾いたような気がした。「つまり、どういうこと?」
「最初から計画的だったってことだ。レノンさんが書いた曲はすべて『スターリング・レコード』名義で登録されている。法的には、レノンさんは権利を一切主張できない」
「私に何ができるの?」
「レノンさんがそれを作ったという証拠が必要だ。手書きの原稿、デモテープ、タイムスタンプのある記録。詳細は細かければ細かいほどいい」
「バックアップは全部とってあるわ」
「よし。それともう一つ」彼は一呼吸置いた。「スターリングさんは会社の株式再編を進めている。セレスト・モンローを共同経営者に迎えるつもりだ」
私は目を閉じた。「いつ?」
「来月の役員会で決議される」
来月。つまり、彼は最初からそのつもりだったのだ。私を追い出し、彼女を迎え入れる。
「レノンさん、決断するなら急げ。離婚するつもりなら、株式再編が承認される前に申請したほうがいい」
「分かってる」
電話を切った後、私は長い間そこに座っていた。やがて私は着替え、ミュージック・アワードの会場へと車を走らせた。もしこのイベントが私たちの結婚生活よりも重要だと言うなら、それがどれほど重要なものなのか、この目で確かめてやる。
式典はダウンタウンのシンフォニー・センターで行われていた。レッドカーペット、フラッシュの光、シャンパン。私はレッドカーペットを歩くことなく、通用口から忍び込み、講堂の最後列に席を見つけた。
ステージ上では、仕立ての良いスーツを着たカラムが「最優秀プロデューサー賞」を受け取り、カメラに向かって微笑んでいる。
「この賞は私にとってかけがえのないものです。チーム全員の努力の証ですから」彼がマイクに向かって語ると、会場は拍手に包まれた。「特に、ある一人に感謝を捧げたいです。私のクリエイティブ・ディレクター、セレスト・モンローです」
カメラが客席を映し出す。セレストが立ち上がり、手を振っている。あらゆる光を反射して輝く、シルバーのガウンを身に纏っていた。
「セレストは昼夜を問わず、私と共にいてくれました」カラムは続ける。「彼女のクリエイティブなサポートとビジネスセンスがあったからこそ、スターリング・レコードはここまで来られたのです。彼女がいなければ、この賞は存在しなかったでしょう」
さらなる拍手喝采。彼がステージを降りると、セレストが彼を出迎え、抱擁を交わした。あまりにも長い抱擁を。
「それから、もちろん」カラムはまるで付け足しのように言った。「妻にも感謝しています」
それだけだ。たった一言。
客席の誰かが笑った。誰かは分からない。だがその笑い声は、まるで平手打ちのように私の心を打ち据えた。
私は席を立ち、会場を出た。駐車場で自分の車を探していると、隅のスペースに停められたカラムのセダンが目に入った。その隣には赤いスポーツカー。セレストの車だ。
私は別の車の影に身を潜め、待った。十分後、何かを笑い合いながら二人が出てきた。カラムは彼女を車のドアに押し付け、キスをした。儀礼的なキスではない。愛し合う者同士が交わすキスだ。深く、無防備な口づけ。
手から滑り落ちたスマホが、アスファルトにぶつかって音を立てた。二人は聞こえていない。あるいは聞こえていても、気にも留めていないのか。
セレストが顔を上げ、私を見た。彼女は微笑んだ。あの満足げで、挑発的な笑みだ。そして彼女はカラムの耳元で何かを囁いた。彼が振り向き、私を見つける。
ほんの一瞬、彼の顔に狼狽の色が浮かんだ。だがそれはすぐに苛立ちへと変わった。まるで、楽しみを邪魔されたとでも言うように。
「彼はあなたを愛してなんかいなかったのよ!」セレストが声を張り上げ、その言葉が駐車場に響き渡った。「あなたはただの踏み台だったの!」
私は屈み込んでスマホを拾い上げ、きびすを返した。カラムが私の名前を叫んだが、振り返らなかった。車に乗り込み、エンジンをかけ、駐車場を出る。バックミラーの中で、彼がまだそこに立ち尽くしているのが見えた。追いかけては来ない。ただ立っているだけだ。やがてセレストが彼の手を取り、二人は建物の方へと戻っていった。
家までの運転は十五分。荷造りには二十分かかった。二つのスーツケースにすべてを放り込む。服、ノートパソコン、ギター。大切なものと、どうでもいいもの。そしてダイニングテーブルに置き手紙を残した。「二度と連絡しないで」
背後でドアの鍵をかけ、私は以前から借りていた小さなレコーディングスタジオへと車を走らせた。今夜から、ここが私の家だ。
