第113章 強奪する

山本宏樹の指が、私の頬をそっと撫でた。

そこには独特の芳香が漂っている。それは、松田未菜が愛用している香水の匂いだ。私は思わず眉をひそめ、顔を背けて彼の手を避けた。

「他の誰かに触れたその手で、私に触らないで。吐き気がするわ」

山本宏樹の手が宙で凍りついた。彼の眼差しは瞬時に鋭く冷徹なものへと変わり、私を射抜くかのようだった。

「木村美玲、調子に乗るなよ!」

彼は低く唸った。その声は微かに震えており、私の言葉が彼を激昂させた証拠だった。

私は臆することなく彼の視線を受け止め、口元に冷笑を浮かべた。

「調子に乗る? あなたがしてきた事に比べれば、これくらい何だと言うの? 山本宏樹...

ログインして続きを読む