第5章
山崎絵美視点
真実を知ったその夜、私は書斎の椅子に座り、月明かりが照らす机の上をただぼんやりと見つめていた。
庄司に助けを求めることはできない。裕一が彼の血を分けた兄であるにもかかわらず、山崎家の利益と、彼らが言うところの「大義」の前では、誰も私に手を貸してはくれないだろう。その上、彼らの目には森本亜里亜はか弱き被害者であり、私はただの嫉妬に狂った妻に過ぎないのだから。
『頼れるのは、自分しかいない』
私は深く息を吸い込み、復讐のための計画を練り始めた。
まず、もっと強力な証拠が必要だった。父が遺した資料は貴重だが、それだけでは庄司を動かすには不十分だ。何か「新しい」証拠...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章

5. 第5章

6. 第6章

7. 第7章

8. 第8章


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