第8章

山崎絵美視点

庄司の表情が、驚愕から苦悶へと変わる様を静かに見つめながら、私の内には複雑な感情が渦巻いていた。

『やっと……もう、偽らなくていいんだ』

三年間。三年の演技、三年の忍耐、三年の憎悪。今、そのすべてが終わるのだ。

しかし、彼がこれほどまでに苦しむ姿を見て、私は奇妙な、歪んだ満足感を覚えた。

『そう、もっと苦しめばいい。この三年間、あなたが森本亜里亜に愛情を注ぐのを見て、私がどれほど苦しんだか、あなたも味わうがいい』

「なぜだ」

庄司の声が、砕け散ったガラスのように響いた。

「なぜ、俺たちの子供を殺したんだ?」

「『私たちの』子供じゃなかったからよ」私は...

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