第21章 ワインテイスティングの達人

西村海はこの言葉を聞いて、まぶたがぴくりと痙攣した。

五種類のワインの中から自分の求めるものを正確に見つけ出すなど、容易なことではない。

素人にとって、赤ワインは「まずい」か「同じ味」のどちらかで、大きな違いなど分からないものだ。

大会社を経営し、頻繁に接待をする彼でさえ、そのような挑戦をする勇気はなかった。

ましてや……

佐藤絵里の口から出たそのワインは、聞いたこともないものだった。

給仕の様子からして、ラフィットよりもはるかに高価で希少なものに違いない。

西村海は佐藤絵里に引き下がる余地を作ろうとした。

「やめておこう、これは本当に面倒だから、私たちは……」

ずっと黙っ...

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