第25章 満足ですか

佐藤絵里はただ一つの感想を抱いた。

柔らかい!

男の人の唇って、こんなに柔らかくて、こんなに甘いものなんだ!

しかも冷たくて、ほのかなミントの香りがする。

夏目嵐は本当のことを言ってたんだ!

たった一度の恋愛経験しかなく、初キスをあのホテルで失ってしまった恋愛初心者にとって、このキスは本当に頭がクラクラして、東西南北もわからなくなるほどだった。

でも……

この唇の感じ、覚えがある気が……

彼女はぼーっと目を見開いたまま、どう反応すればいいのかもわからなかった。

目の前にある藤原青樹の顔を見ても、吐き気や嫌悪感は全く感じない。

それどころか……

なんだか悪くない?

佐藤...

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