第116章 お姉さん美しい

男はシャツを着ており、襟元の一番上のボタンまで留められていた。

腕にはスーツの上着が掛けられ、その体はすらりとしており、目元は怜悧だ。

切れ長で漆黒の瞳。

その視線は夏川秋を通り越し、御影星奈に向けられていた。

前回のライブ配信以来、彼は御影星奈の邪魔をしていなかった。

平穏だった感情が、今この瞬間、波立ち始める。

特に、御影星奈と夏川秋が親密そうにしている様子を見ると、もはや制御が効かなくなる。

彼は平静を装うことに努めた。

病院の看護師たちは皆、夏川秋を知っている。

会釈を交わすと、すぐに次の病室へと急いで行った。

夏川秋は瀬央千弥に対して強い敵意を抱いている。

し...

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