第161章 病院で子供が盗まれた?!

英子はぶつかられてよろめいた。

腕が折れてしまうのではないかと思うほどの衝撃に、彼女は顔を青ざめさせ、瞳に涙を浮かべる。

ぶつかってきた人物は何も言わず、ただ胸に抱えたものをきつく抱きしめ、足早に去っていった。

御影星奈は半ば屈み込み、英子がぶつかられた箇所を確認する。

子供の体には元々肉が少ない。この強い衝撃で、腕には大きな青あざができていた。

英子は小声で彼女を慰める。

「きれいなお姉さん、英子は大丈夫。痛くないよ」

子供の黒い瞳は透き通り、水面のようにきらめいている。

本当はとても痛いはずなのに、無理に平気なふりをしているのだ。

御影星奈は、英子のこの性格がすぐには直...

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