第55章 先輩、恋愛脳にならないで

三日後。

謝部綾人は早朝から御影星奈のマンションの下で待っていた。

電話の向こうでは、夏川中嶋がまだ延々と喋り続けている。

「兄貴、今御影星奈は時の人なんだぞ。そんな彼女と一緒にオークションに行くなんて、とばっちり食らうだけじゃないか?」

「それに瀬央千弥ともまだ何か怪しい関係が続いてるみたいだし、兄貴が浮気相手だってネットで言われるのが心配なんだよ!」

謝部綾人の数少ない友人として、夏川中嶋は彼のことを心から案じていた。

親友は二十四年間も独り身だったのだ。

それが突然目覚めたかと思えば、想いを寄せる相手は離婚したばかりの女性。

これでは気が気でないのも無理はない。

万が...

ログインして続きを読む