第86章 彼女の正体を暴こうとしている!

「ニャオ!」

猫は御影星奈の手の中で必死にもがき、四本の脚を空中でめちゃくちゃにばたつかせた。

全身の毛が逆立っている。

「先輩、なんだか猫の鳴き声が聞こえませんか?!」

松山守が声を聞きつけ、素早く駆け寄ってきた。

彼は女性の手にぶら下げられている茶トラの猫を見た時、しばし考え込み、それから疑問を口にした。「どこから来た猫です?」

御影星奈が茶トラの首根っこを掴んでいた手を離すと、その四本の脚が地面に着いた刹那、姿はかき消えていた。

「さあ」

御影星奈は言葉を切り、視線の先で箪笥の中にある茶色い封筒を捉えた。

封筒はかび臭い匂いを放ち、その表には『愛弟子御影星奈親展』と書...

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