第7章

 松本涼真がその話を持ちかけてきた時、私は黒木琉生から渡された数枚の港湾配置図を眺めていた。

「で、彼には伝えたの?」

 私は視線を落としたまま尋ねる。

「まあ、少しだけな」

 彼は私の顔色を窺いながら、愉しげに笑った。

「あいつが不憫だとは思わないか?」

 私は顔も上げずに答える。

「思わない。そこで情けをかければ、私が私自身を裏切ることになるもの」

 松本涼真は片眉を跳ね上げた。どうやら今の反応が気に入ったらしいが、それでも好奇心を抑えきれない様子で問いかけてくる。

「純粋に疑問なんだが、以前の君はあいつのどこに惚れていたんだ?」

 書類をめくる指が止まる。

 記憶...

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