第75章 最初から最後まで仕組まれた罠

医師は無言で頷いた。

病室に入ると、葉山立夏はまだ昏々と眠っていた。頬には病的な紅潮が差し、呼吸は頼りないほど浅い。

橘カオリはぬるま湯でタオルを濡らし、火のように熱い彼女の額を丁寧に、何度も拭った。

ポケットの中で携帯が震えた。依頼していた探偵からの暗号化されたメッセージだ。

内容は簡潔だった。

『西園寺京夜の手の者が主要な私立病院への接触を開始。過去半年の受診記録を収集中』

橘カオリの手が止まる。

西園寺京夜の動きは、想定よりも早く、そして容赦がなかった。

彼女は深く息を吸い込み、素早く数行の指示を打ち込んだ。西園寺京夜の調査を撹乱するための手配だ。

同時に、葉山立夏の...

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