チャプター 103

テッサ視点

私たちが歩く廊下は、最初は静まり返っていた。無機質で、磨き上げられ、ここに来てからというもの一度も目にしたことのない、見慣れない場所だ。

キオンの屋敷のことは、もうかなり頭に入っていたはずだった。メインのリビングエリア、客室、中庭、彼らが留守の間エリンといつも嗅ぎ回っていたキッチン……。でも、この場所は? この白い回廊と銀色のセキュリティドアが続く空間は? こんな場所には降りてきたことさえなかった。近くに来たことすらなかったのだ。

進むにつれて足音が鋭く反響し、その一つひとつが、早鐘を打つ私の心臓の鼓動と重なった。

早く彼女に会いたかった。あんな...

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