第120章

テッサ視点

病室のドアがきしみ音を立てて開くと、暖かく、消毒液の匂いが混じる空気が私たちを迎え入れた。

サーシャは積み重ねた枕に背を預けていた。その顔は蒼白だったが、最初に発見した時よりはずっと生気が感じられた。

頬にはわずかながら血の気が戻り、疲れに縁取られた瞳の奥には、確かな意志の光が宿っていた。

エリンが迷わず歩み寄り、私を強く抱きしめた。まるで何かにすがるような、必死な抱擁だった。「サーシャ、今日はすごく良くなってるわよね?」エリンの声は希望に満ちていたが、どこか慎重さも滲んでいた。完全に信じてしまうのを恐れているかのように。

私は優しく微笑み、エリンの言葉を噛みしめ...

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