第121章

ケイン視点

泣き叫ぶ幼児をあやす番(つがい)の手際の良さに感心しながら、俺は胸の奥から湧き上がる不思議な温かさを感じていた。サシャの病室に近づくにつれて、その感覚は強くなっていく……。

部屋に足を踏み入れると、俺の感覚は鋭さを増した。エリンはベッドの脇に座り、セスはすでに立ち上がっていた。まるで朝からずっと俺たちを待っていたかのように――実際、そうだったに違いない。

テッサが先に入ると、エリンが駆け寄って抱きしめた。俺はその背後に続く。頭上のきつい照明は閉ざされたカーテンのおかげで和らぎ、心拍モニターの規則的な電子音が、この無機質な空間で妙な安らぎを与えていた。

サシャは枕に体...

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