チャプター 138

テッサ視点

バスルームから出ると、タイルの温もりがまだ足裏に残っていた。タオルを手に持ったままの私は、濡れた髪の毛先が少しカールしているのを感じる。

それでも、気分はさっぱりとしていた。ロシアのあの凍てつくような寒さが、ようやく肌から洗い流されたような……そんな気がしたのだ。

部屋を出ようとして、ふと鏡に映る自分の姿に目が留まり、足を止めた。

穿いているデニムのショートパンツは体にフィットしているけれど着心地が良く、丈は太ももの真ん中あたり。選んだ白いTシャツは軽やかで通気性が良く、動くたびにふわりと揺れる。

外の暑さに適しているというだけではない――それは「普通」だと感じら...

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