チャプター 21

***** テッサ視点 *****

今夜のディナーは期待をはるかに超えるものだった。ステーキを一口食べるたびに、そのあまりの繊細な味わいに、私はもう少しで感嘆の声を漏らしてしまいそうだったほどだ。

これまで味わった中で最高の一品だったし、ケインでさえもその風味を絶賛し、週末は「新しいシェフ」が入っているのだと言っていた。

週末といえば、もう土曜日だなんて信じられない。この一週間はあまりに激動の日々で、私の人生は根底から覆され、ここ数日は自分がどこにいるのかさえ分からないような迷子になった気分だった。

「セスのことが気に入ったようだな?」

ディナーも終わりに近づいた頃、ケインの言葉が耳...

ログインして続きを読む