チャプター 72

ケイン視点

ベッドで安らかに眠るテッサの姿。その胸が一定のリズムで上下しているのを見ていると、安らぎを感じると同時に、胸を締め付けられるような苦しみも覚えた。

翌日――多くの不確定要素を孕んだ、重い一日が始まっていた。

重たい毛布の下で丸まっている彼女は、とても小さく見えた。枕に広がった髪は、まるで天使の輪のようだ。ほんの一瞬、このまま時間を止めて、永遠にここに留まりたいと願った。彼女と二人きりで。戦うべき争いもなく、狩るべき敵もいない場所で。

だが、それは俺たちの現実ではない。少なくとも、今はまだ。

俺は髪をかき上げると、傍らの椅子に置いたバックパックに向き直っ...

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