チャプター 8

テッサ視点

彼は一瞬動きを止め、不意を突かれたような顔をした。それからグラスに残っていたウィスキーを飲み干すと、テーブルに置いて立ち上がった。

「送っていくよ……」

彼の返事はそれだけだった。私は息を呑み、デートの最後を台無しにしてしまったのではないかという恐怖に襲われた。

いったいどうしてあんなことを聞いてしまったの? 当然、そんなわけないじゃない! 彼は狼なのよ! 彼らは甘い雰囲気なんて好まないんだから!

あんなに順調だったのに……。


カーテン越しに朝日が差し込み、部屋を暖かな光で満...

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