チャプター 83

ケイン視点

廊下の向こうでは、パニックに陥った足音と、解放された捕虜たちの叫び声が木霊していた。

俺たちは振り返らなかった。

そんな余裕はなかったのだ。

ただ、他の仲間たちが彼らを無傷で連れ出してくれることだけを祈りながら、前へと進む。

キオンとヴィクターが俺の両脇を固める。二人とも警戒レベルを極限まで高めており、その瞳は怪しく輝き、全身は今にも弾け飛びそうなバネのように張り詰めていた。

俺たち三人は一振りの刃となって廊下を突き進み、倒れた衛兵たちを乗り越えていく。ブーツの下では、血溜まりがまるでペンキのように広がっていた。

誰も口を開かない。

その必要がな...

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