チャプター 94

***テッサ視点***

目の前の濁った液体が入ったカップを見つめた。湯気が狼煙のように空気中へと立ち上っていく……。

ほのかにミントの香りがしたが、それとは別に、うまく言い表せない土のような匂いも混じっていた。

味は苦い――少なくとも、そう想像していた。まだ一口すすっただけだったから。

縁の欠けた磁器のマグカップは、手の中で異様なほど温かく、あまりにも心地よかった。今の私の神経がどれほどズタズタかを考えれば、皮肉なほどに。

時間が経つごとに胃の腑がぎりぎりと締め上げられ、食事など考えられず、お茶さえも毒のように感じられた。

「ノンデ。タベテ。イイカラ」

年配の女性が強いロシア訛り...

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