第12章:偽物を本物として

みんなが騒ぎ出すと、小宮久美は居心地が悪くなった。彼女は谷本純平が何を準備したのか知らなかったが、彼が「絵」とだけ言っていたことを思い出した。

小宮久美は、谷本純平が安物の絵を買ってきただけだと思っていた。大津誠一の絵とは比べ物にならないだろう。

「ただのプレゼントだし、そんなに大したことないわよ」と小宮久美は谷本純平をかばうように言い、彼を鋭く睨んだ。

もし今日、こんなに多くの人の前で恥をかいたら、彼女は谷本純平を恨むに違いない。そうなれば、大津誠一の前で顔を上げられなくなる。

「従姉、それは違うよ。義兄の気持ちを無視するわけにはいかないよ」と小宮静流は笑顔で言いながら、テーブルの...

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