第14章:一言でコレクション展を中止した

谷本純平はしばらく考え込んでから、「今は会わないでおこう。後で話そう」と言った。

電話の向こうの斉藤奈緒美は「わかりました」と答えた。

電話を切った後、谷本純平は廊下で一晩中座っていた。

翌朝早く、小宮久美は冷たく言った。「午後に侑里を迎えに行くけど、一緒に来る?」

谷本純平はうなずき、苦笑いを浮かべた。「お父さんに頭を下げに行くよ」

その言葉を聞いて、小宮久美は心の中で少し動揺したが、表情は冷たく、うなずくだけで何も言わなかった。

午後、谷本純平と小宮久美は侑里を義父の家に連れて行った。家に入ると、冷たい雰囲気が漂っていた。

「お父さん、帰ってきました」と小宮久美は平静を装っ...

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