第25章:すべて谷本さんに従う

谷本純平は軽くうなずき、冷淡な態度で立ち上がり、「浅尾教授、これで問題ありませんか?」と尋ねた。

浅尾岬は床に倒れ、苦しそうにうめいている前里節夫を一瞥し、「それは彼の自業自得です。谷本さんが彼に懲戒を示したのは、むしろ彼の幸運です」と言った。

甥がこんな目に遭ったのに、叔父がそれを幸運だと言うなんて。

矢部太志は息を呑んだ。谷本さんの身分がただ者ではないことは知っていたが、ここまでとは思わなかった。

浅尾岬、医界の泰斗だ。どれだけの名士が彼の診察を受けたことか。

これが人脈というものだ。

浅尾岬が一言でも言えば、矢部太志は一瞬で天から地に落ちることになるだろう。

前里節夫は地...

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