第4章
花宮薔薇視点
その朝、私は一日の仕事の準備をしながら、機材の調整をしていた。
昨夜の光景――黒羽赤司の傷に包帯を巻いた時のことが、頭の中で何度も再生される。あの冷徹な帝王が、まさか痛みで震えるなんて。
私が思っていたような怪物じゃない。
その考えが私を落ち着かなくさせる。自分を攫った男に同情なんかしてはいけないのに!
「花宮薔薇」
振り返ると、戸口に黒羽赤司が立っていた。一睡もしていないかのように、その顔は青白い。
「今日は何を彫りますか?」
私は意識して冷たい口調で尋ねた。
彼は答えなかった。代わりにタトゥーチェアへと歩み寄り、私を驚愕させる行動に出た――...
ログインして続きを読む

チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章

5. 第5章

6. 第6章

7. 第7章

8. 第8章

9. 第9章


縮小

拡大