第7章

黒羽赤司視点

花宮薔薇が去ってから、俺はずっと事務所で、とっくに冷え切ったコーヒーのカップをただ見つめていた。

俺がつけた護衛たちが彼女を守っているはずだ。彼女は安全なはずだ。

だが、腹の底で渦巻く不安は、ますます強くなるばかりだった。

「黒羽さん!」

秋山佑真が死人のように青ざめた顔でドアを突き破るように入ってきた。

俺は勢いよく顔を上げた。

「どうした?」

「花宮さんが行方不明です!」

秋山佑真の声が震えている。

「ホテルの防犯カメラに、午前三時、覆面をかぶった三人の男が彼女の部屋に入るのが映っていました。十分後、そいつらは……麻袋に誰かを入れて運び出し...

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