チャプター 16

シエナ視点

「オードリー? どうしてここにいるの?」

ソーントン家の邸宅の入り口で、私は呆然と立ち尽くした。ショックのあまり、言葉も出ない。

一体どうして彼女がここにいるわけ?

このチャリティーガラで誰よりも輝くために、一日がかりで着飾ってきたっていうのに。

それなのに、目の前にはオードリーが立っている。息をのむほどゴージャスな赤いドレスをまとって、まるで映画スターみたいに。

「ご招待いただいたの」彼女は落ち着き払った様子でそう言うと、招待状を掲げてみせた。

込み上げてくる怒りをぐっとこらえ、私は彼女を頭のてっぺんからつま先までじろじろと眺めた。

「あなたを? ソー...

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