チャプター 17

シエナ視点:

キャスパーはノアのそばに歩み寄り、息子を背後にかばった。その眼差しは氷河のように冷たかった。

その瞬間、空気が凍りついたかのようで、ボールルーム全体が恐ろしいほどの静寂に包まれた。

「こちらは息子のノア・ソーントンだ」

彼の声は大きくなかったが、その一言一言は氷のつるはしのように鼓膜を突き刺した。

顔から血の気が引いていくのを感じ、膝から力が抜けた。

夢にまで見た男性が、地獄さえ凍りつかせるような表情で私を見つめている。

「ごめんなさい、私……知らなかったんです」かろうじて聞き取れるほどの、震える声が出た。「本当に、あの子があなたの息子さんだなんて……」

キャスパーは答えず、た...

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