第7章
武は、どうかしているとでも言いたげな目で隆を見た。「何を言っているんだ?」
隆は人々でごった返す部屋をちらりと見回した。「二人きりでお話しできませんでしょうか?どうか、お願いします」
「断る」武はきっぱりと言った。「言いたいことがあるなら、ここで言え」
隆の顔が青ざめる。彼は舞子に目を向けたが、彼女は必死に首を横に振っていた。
「隆、やめて」彼女は声を潜めて言った。「そんなこと、絶対にしないで」
しかし、隆はもう彼女を見ていなかった。彼の視線は武に向けられていた。
「お父さん、私の会社が窮地に陥っておりまして。投資家が必要なのです。もしやお父さんにお力添えをいただけないか...
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