第3章

 明日は、予想よりも早く訪れた。

 目覚めると、そこは混沌の渦中だった。寝室の窓越しに、少なくとも二十人はいるであろう記者たちが門の外に陣取り、カメラを構えているのが見える。私の携帯は朝の六時から鳴り止まない――ニュース速報、SNSのメンション、そして一度も会ったことのない家族について勝手な意見を述べる赤の他人たちからの通知だ。

 階下の朝食の席は、静かなる戦場と化していた。

 最初に沈黙を破ったのはキャサリンだった。彼女はテーブル越しに手を伸ばし、すがるような強さで私の手を握りしめた。「アリア、お願い。今日の話し合い……これがエレナにとってどういう意味を持つか、考えてあげてくれない? あのお金があれば、あの子は――」

「あれば、何?」私は手を引っ込めた。「詐欺罪で捕まったときのために、腕利きの弁護士でも雇うつもり?」

「あの子は過ちを犯しただけよ。誰にだって間違いはあるわ」キャサリンの声が震える。「でもあなたは……あなたは私たちより立派な人間になれるチャンスがあるの。慈悲を見せてやってちょうだい」

 笑い出しそうになった。「慈悲、だって? 私が八歳でゴミ箱を漁っていたときに受けた慈悲のこと? それとも、十四歳でバスターミナルで寝泊まりしていたときの?」私は立ち上がった。「その時、あなたの慈悲はいったいどこにあったの、母さん?」

 その言葉が空中に漂った。「母さん」。そう呼んだのは、これが初めてだった。

 リチャードが咳払いをした。「車が待っている」

 私はリチャードとキャサリンと同じ車に乗った。誰も口を開かなかった。

 会議室は想像通りの場所だった。二十人は座れるマホガニーのテーブル。中央公園を一望できる床から天井までの窓。そして壁には、真珠を身につけた美しくも厳格な三十代の祖母の肖像画が飾られている。

 会ったことはない。彼女は私が二歳の時、私が行方不明になった後に亡くなったからだ。

 席に着く前に、リチャードが私の肘に触れた。「話がある。二人だけで」

 私たちは小さめの執務室に入った。彼がドアを閉めて振り返ったとき、ここへ来て初めて、彼がひどく疲れて見えた。老け込んだように。

「提案がある」と彼は言った。「遺産をエレナと分け合うんだ。五分五分でな。その代わり、二十五歳になったら君をブラックウェル不動産の社長にしてやる」

 私は瞬きをした。「本気で言ってるの?」

「長い目で見れば、会社には信託基金以上の価値がある。賢い取引だ」彼は実際に微笑んだ。私が感謝するとでも思っているかのように。「君は真の権力を手に入れることができる。自分だけの遺産を築くんだ」

「そしてエレナは、自分に相応しくないものを持ち続けるってわけね」

「あの子も家族だ――」

「あの子は嘘つきで詐欺師よ」私は一歩近づいた。「私が地獄で二十二年間過ごしている間、あの子は本来私のものだったはずのすべてを手に入れていた。それなのに今さら、分け合えだって?」

「強欲だな」

 その言葉が癪に障った。私は笑みを浮かべた。「最高のお手本から学んだのよ、そうでしょ?」

 彼の表情が陰った。「この恩知らずが――」

「話は終わりよ」私は部屋を出て行った。

 遺言書の読み上げは二十分で終わった。弁護士は信託や条項について淡々と読み上げたが、結論は単純だった。五百億円、そのすべてが私のものだ。エレナは別の基金から毎月少額の手当を受け取るだけ――不自由なく暮らせる額ではあるが、重要性を持てるほどの額ではない。

 彼女の顔は見なかった。見る必要もなかった。

 帰り道も、同じような息詰まる沈黙が支配していた。記者の数はさらに増えていた。運転手はクラクションを鳴らしながら強引に進まなければならなかった。

 私は疲れ果てて、自室に直行した。まだ午後二時だったが、まるでフルマラソンを走り抜いた後のような気分だった。

 午前三時、ドアが激しい音を立てて開いた。

 警察だ。捜索令状を持った刑事を筆頭に四人。私は跳ね起きた。心臓が早鐘を打つ。

「動くな!」

 彼らは私の部屋を荒らし回った。引き出しは乱暴に開けられ、服は床に放り出され、マットレスはひっくり返された。私はあまりの衝撃に言葉を失い、自分の空間が破壊されていくのをただ見つめていた。

 やがて、そのうちの一人が「あれ」を見つけた。

 ナイトスタンドの引き出しに入っていたビニール袋。中には白い粉末。

「コカインだ」刑事が戦利品のようにそれを掲げ、宣言した。

「私じゃない」脳内では警報が鳴り響いているのに、口からは自動的に言葉が出た。「そんなの……見たこともないわ」

「言い訳は署で聞こう」彼は手錠を取り出した。

 その頃にはもう、廊下には家族全員が集まっていた。

「何かおかしいと思ってたのよ」エレナは泣きじゃくった。「あの子が帰ってきたとき、信じたかったけど……でも里親の家とか、路上生活なんて……ああ、どうして?アリア、私たちはあなたを助けようとしたのに――」

「黙って」

 刑事が手錠をかけるその瞬間に、私は彼女の目を真っ向から見据えた。

「これで終わりじゃないわよ」

 彼女はさらに激しく泣き崩れただけだった。

 警察署で、私は取調室に入れられた。灰色の壁、金属製のテーブル、間違いなくマジックミラーになっている鏡。私は時計を見つめ、待ち続けながら、そこで一時間を過ごした。

 やがて、私の弁護士が入ってきた。

 ブラックウェル家に着いた翌日に雇っておいた人物だ。

「告訴は取り下げられます」と彼は言った。

 私を逮捕した刑事が入り口に現れた。「なんだと?」

 弁護士はタブレットをテーブルに置き、再生ボタンを押した。

 防犯カメラの映像。私の寝室。タイムスタンプは午前二時四十七分。

 懐中電灯を持って忍び込むエレナ。ナイトスタンドの引き出しを開けるエレナ。ビニール袋を慎重に入れ、誰にも見られていないか辺りを窺うエレナ。

 刑事は唖然として口を開けた。

「全部屋にカメラを設置しておいたの」と私は静かに言った。「自分の部屋も含めてね。念のために」

 二十分後、代わりにエレナが逮捕された。

 私は弁護士のベンツに乗り、イースト川から昇る朝日を眺めながら帰路についた。彼が私を門の前で降ろしたとき、ちょうど朝のニュース番組の中継車が恒例の張り込み取材のために到着したところだった。

 屋敷の中では、家族がリビングに集まっていた。エレナは署にいたときのパジャマ姿のままで、マスカラで顔を汚し、キャサリンとリチャードの間に座っている。ディランはソファの後ろで腕を組んで立っていた。

 私が入っていくと、全員が私を見た。

「私を嵌めたのね」エレナが言った。その声は平坦で、感情がこもっていなかった。

「いいえ」私はバッグを床に落とした。「自分の身を守っただけ。それとは違うわ」

「この子がこんなことをすると分かっていたのか?」リチャードの声は鋭かった。

「誰かが何かを仕掛けてくるとは思ってた。誰がやるかまでは知らなかったけど」私は彼の目を見た。「結局のところ、もうどうでもいいことよ。守りに徹するのはもう終わり」

 コーヒーテーブルから何かが落ちた。マニラ封筒だ。高価な絨毯の上に書類が散らばっている。キャサリンが息を呑み、膝をついて拾い集めようとしたが、もう手遅れだった。

 私には見えた。全員に見えた。

 DNA鑑定書。私のではない。エレナのものだ。

 そして添付されていたのは、刑務所の顔写真。四十代半ばの男、死んだような目をしている。

「なんてこと……」キャサリンが囁いた。

 エレナはその紙を掴み取り、写真とその下の名前を凝視した。マーカス・ドイル。十二件の殺人で有罪判決。仮釈放なしの終身刑。

「嘘よ」彼女は言った。「こんなの偽物に決まってる――」

「三回も検査させたのよ」私は報告書を拾い上げた。「あなたの実の父親は悲劇の主人公なんかじゃない。連続殺人鬼よ」

 ディランが歩み寄り、私の手から書類を奪い取った。それを読み、まるで初めて見る生き物かのようにエレナを見つめた。

 リチャードの手がどこからともなく伸びてきた――エレナの頬を張る乾いた音が部屋に響き渡る。

「嘘つきめ」彼が声を絞り出した。「今までずっと、お前は――」

「知らなかったのよ!」エレナの叫び声は悲痛だった。「私は養子で、記録には両親は事故死したって――」

「記録は封印されていたの」私は言った。「封印を解くのに大金を払ったわ」

 キャサリンは泣いていた。ディランは吐き気を催しているようだった。リチャードの顔は怒りで赤黒く染まっていた。

 その時、呼び鈴が鳴った。

 私たちは全員凍りついた。

 執事が入り口に現れた。「旦那様、FBIの方々がお見えです。令状をお持ちです」

 スーツ姿の男が三人、リビングに入ってきた。先頭の捜査官がバッジを見せる。「リチャード・ブラックウェル。ブラックウェル不動産の財務記録について尋問を行う」彼は分厚いフォルダーを取り出した。「さらに、詐欺共謀および暴行教唆の証拠も挙がっている」

 エレナは悲鳴を上げ、よろめいて後ずさりした。

 私はゆっくりと携帯を持ち上げ、画面を見せた。送信済みメールが一通。宛先はFBI匿名通報ライン。

 ディランが私の方を向いた。その顔は不信と激怒で歪んでいる。

「お前……」彼は囁いた。「お前が通報したのか?」

 私は微笑んだ。

「家族会議はこれにて終了よ」

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