第141章 森遥人は獣

車中で、中条亜矢はまだどこか確信が持てずにいた。

「加賀弁護士、本当にお兄様を呼ばなくて大丈夫なんでしょうか?」

「呼ばない方がいいでしょう。中条社長がご一緒されると、いかにも営業といった感じで、目的意識が強すぎます。初対面には向きません」

 それを聞いて、中条亜矢はなるほどと思った。

「まずはあなたが顔を見せて、森夫人に慣れてもらうんです。今日うまく話せれば、後のことはスムーズに進みますよ」加賀信也はそう付け加えた。「ご心配なく。ただ食事をするだけですから」

 中条亜矢は慌てて言った。「わかっています」

 従兄から森社長が既婚者であること、そして加賀弁護士の話では夫婦仲も悪くないと聞かされて...

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