第16章 彼の布団に潜り込む

彼女は笑ってドアを閉め、森遥人の顔色は刻一刻と変わっていった。

やはり、あの言葉は彼女に覚えられていたのだと悟る。

彼女を縛るための契約に、反って自分が先に違反してしまった。

森遥人は急に苛立ちを覚え、酒棚からボトルを一つ取り出した。まさに開けようとしたその時、鈴木莉緒がドアを開けた。

「お酒、飲むの?」鈴木莉緒は彼の手にある酒瓶に目をやった。

森遥人は無視する。

「飲んじゃだめ」鈴木莉緒は歩み寄って酒瓶を奪い取った。「体を大事にして」

森遥人は手を伸ばす。「返せ」

「返さない」鈴木莉緒は一歩下がる。「名目上とはいえ、妻である以上、夫であるあなたが自分の体を大事にしているか、私...

ログインして続きを読む