第32章 私から降りて!

せっかく優位に立った鈴木莉緒が、素直に起き上がるはずもない。

彼女はそっと森遥人の肩を叩いた。「暴れないで。ここ、暖かいから、もうちょっとだけこうさせて」

「女のお前が、恥を知らないのか?」

「あなたは私の旦那さんでしょ? 一緒に寝るのに、何が恥ずかしいの?」鈴木莉緒はさらに強く抱きしめる。「森遥人、あなたに抱きついてると、すごく安心する」

「……」

鈴木莉緒はまさに蛇で、森遥人はその棒だった。

棒で一打ちすれば、蛇は絡みついてくる。

鈴木莉緒は本当に、この機に乗じて美味しい思いをしようとしているだけだ。

こんなに綺麗な男なのだから、触れるだけ触っておくに限る。

彼女は森遥人...

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