第71章 もう少しでやった

まさに一線を超える寸前だった。

その最後の最後で、森遥人はぴたりと動きを止めた。

鈴木莉緒は目がとろんと潤み、顔を火照らせたまま、何が起きたのか分からずにいる。

森遥人は傍らに放り投げられていた服を、再び彼女に着せかけた。情欲が消え去った男は、より一層無情に見える。

「体を洗って寝ろ」

鈴木莉緒はまだカウンターに座ったまま、いくらか意識を取り戻した。「どうしたの?」

森遥人は自分の服を拾い上げ、彼女に視線を向けることなく身に着けていく。

「森遥人、一体どういうつもり?」鈴木莉緒は怒りを覚えた。

多少の欲求不満はあったが、それ以上に彼の態度に腹が立ったのだ。

さっきまで自分の体...

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