第97章 キスしている時、あなたは何を考えているの

鈴木莉緒は瞬時に後悔した。

どうして余計な一言を付け加えてしまったのだろう。

そのまま部屋に戻ればよかったではないか。

「イケメンって、誰のこと?」鈴木莉緒は気まずそうに視線を泳がせた。「あなたの前で、イケメンなんて言える人がいるわけないじゃない」

森遥人は、笑っているのかいないのか分からない表情で彼女を見つめている。

鈴木莉緒は彼に向かってにっと笑いかけた。「ちょっと眠いから、寝るね」

「待て」

「……」鈴木莉緒は彼の言葉を無視したかったが、足が言うことを聞かず、その場に縫い付けられたように止まってしまった。

森遥人は指をこすり合わせながら問いかける。「誰だ?」

鈴木莉緒は...

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