第103章 差別待遇

林口有紀は伊藤健に視線をやった。今回のヒロインには、今をときめく人気女優、森山妃菜が内定している。これは出資者サイドからの強い要望だった。伊藤健としては不本意な部分もあるが、彼の主導する作品ではないため、諸々の事情を汲む必要があったのだ。森山妃菜の演技力も水準には達している。ただ、彼のベストチョイスではない、というだけのこと。この件はまだ伏せられており、ヒロインのプロモーションに合わせて然るべきタイミングで発表される手筈だ。だが、主役はこの学校から選ばれた。だからこそ、彼は意味深な笑みを浮かべてこう言ったのだ。「主役は君たちの学校の生徒だ。誰だと思う?」

ちょうどその時、前田謙信が姿を現...

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