第106章 病気の岡本凜太郎

予鈴が鳴り、授業が始まろうかという頃——。山口拓海は、岡本凜太郎が席にいないことに気づいた。

彼は興奮気味に目を見開くと、グループチャットで岡本凜太郎にメッセージを送りながら、隣の山田祥生にまくし立てた。

「おい、今日はあの岡本凜太郎が遅刻だぞ! 大ニュースだ!」

しかし、いつまで経っても岡本凜太郎からの返信はなく、電話をかけても繋がらない。

山田祥生は頬杖をつき、今にも眠りそうな声で言った。

「あいつだって寝坊くらいするだろ……。電話なんてして起こしてみろ、また殴られるぞ」

山口拓海は慌てて電話を切ったが、すぐに思い直した。

(いや、待てよ。俺たちは幼馴染だが、岡本凜太...

ログインして続きを読む