第112章 期末

山口豪は反論しようとしたが、母の咎めるような視線に気圧され、口をつぐんだ。仕方なく話題を変える。「今は夏美の話だろ。俺が夏美ぐらいの歳の時は、一人で南極も北極も行ってたんだぜ。今回は岡本凜太郎や山口拓海も一緒なんだ、間違いなく無事だって」

山口美崎は彼を睨みつけた。「お父さんの言う通りよ。お父さんが二十八の時、あんたはもう小学生だったわ。それなのに今や、彼女の一人もいないなんて。私たちが焦るのも当然でしょう?」

山口誠司はさらに冷ややかに鼻を鳴らした。「三十までに嫁を見つけられんようなら、この家の敷居を跨げると思うな」

山口豪はそれ以上何も言えず、助けを求めるように山口夏美を見た...

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