第114章 スキーの争い

山口豪は岡本凜太郎が確かに気だるげな様子なのを見て、少し考えた後、ためらいがちに頷いた。

「岡本凜太郎、お前に任せるなら安心だ。だが、昨日より顔色が悪いな。よく眠れなかったのか?」

岡本凜太郎は視線の端で山口夏美を捉えた。彼女はメッセージを返している。まさか、またあのガイドか? 昨晩眠れなかったのは、山口夏美が中谷幸太郎と楽しそうに話しているのを見たからだ。知り合って一日で、あれほど話が弾むとは。悔しくて一睡もできなかったのだが、それを認めるわけにはいかない。彼はただ淡々と答えた。

「ああ、時差ボケが治らなくてな。明日には良くなる」

山口豪は彼の肩を叩き、真剣な面持ちで言った。...

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