第115章 予期せぬ事故

真剣にスキーを学ぼうとしている山口夏美は、彼の変化には気づいていなかった。ただ、岡本凜太郎に触れられると心地よく感じるのは、彼に慣れ親しんでいるからだろうと思っていた。

やがて、エッジの切り替えのコツを掴んだと感じた山口夏美は、顔を上げて岡本凜太郎に言った。

「そんなにガチガチに守らないで。手を離してくれなきゃ、一生滑れるようにならないわ」

岡本凜太郎は名残惜しそうに彼女を見つめた。彼女が転んでしまわないか心配だったのだ。彼自身、スノーボードを覚えたての頃は何度も転倒したし、カービングターンの練習中には骨折したことさえある。自分が痛い思いをするのは構わないが、山口夏美が傷つくことだけ...

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