第123章 奇妙なものを釣る

山口夏美は言った。

「嘘をつかないで。すごく痛いのは分かってるから。本当は、私を庇う必要なんてなかったのに……」

山口夏美は前世、スタントマンをしていた頃に怪我をした経験がある。薬を塗っても痛みは引かず、瘡蓋になれば今度は耐え難い無数の痒みに襲われ、苦しんだものだ。

だが、岡本凛太郎は最後まで言わせず、彼女の目をじっと見つめて言った。

「俺が庇わなきゃ、お前が怪我をしてた。もし傷跡が残ったらどうするんだ?」

あの時、ソフィアは手加減なしに山口夏美の顔を狙っていた。たとえ顔を背けて避けたとしても、首や肩に当たっていただろう。女の子の肌は繊細だ。傷跡が残りやすい。そんなことにな...

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