第124章 オークション

「二宮結菜」

山口夏美はその名を口にし、先日彼女と出会った時の光景を思い返した。

あれは新学期が始まって間もない頃、北村由紀と連れ立ってショッピングに出かけた時のことだ。喫茶店で二宮結菜が山口夏美の写真を撮ってくれたことがきっかけで、二人は知り合った。会ったのはその一度きりだったが、二宮結菜の纏う気品は洗練されており、山口夏美に強烈な印象を残していた。だからこそ、写真を見た瞬間にそれが彼女だと分かったのだ。

連絡先を交換していたことを思い出し、山口夏美は彼女にメッセージを送ってみたが、何らかの理由からか、返信はなかった。

その頃、山口美崎と山口誠司はイギリス・ロンドンに滞在し...

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