第125章 競売

いざ入札しようとした矢先、前列にいた代理人がパッと札を挙げた。

「百五十万」

中島翔太はムッとした。前の席にいるのがどこの誰かは知らないが、あまりにも横柄な入札だ。一気に五割も価格を釣り上げてくるとは。彼は思わず二の足を踏んだ。なぜなら、彼の予算は2億円、ドルに換算しても百三十数万しかないからだ。この金額なら、彼の住む街の都心でマンションが買えてしまう。たかが腕輪一つにそれだけの金を出すのは、正直なところ骨身が削れる思いだった。買えないわけではないが、高すぎると感じる。それに翡翠は脆い。万が一、中島結子が外につけていってぶつけでもしたら、大損だ。

しかし、中島結子の顔に浮かんだ憧れ...

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