第81章 怪我をした?

山口夏美は一瞬きょとんとした。彼女はプロのダンサーではないが、『桃李杯』の名は耳にしたことがある。華国で最も権威あるダンスコンクールであり、三年に一度開催され、年齢制限もある。全国のプロダンサーたちがこぞって参加する、紛れもなく最も価値のある栄誉だ。だが、彼女に参加するつもりはない。ただ、和田美咲の挑発的な視線を冷ややかに受け流しただけだった。

和田美咲はそう言い捨てると、返事も待たずにきびすを返して立ち去った。

中村雅子は顔をしかめ、山口夏美が何も言い返さないのを見て慰めた。

「山口夏美、あんな子の言うことなんて気にしなくていいわよ。桃李杯には私とお姉ちゃんが出るから、代わりに懲らし...

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