第96章 計数

双方、互いに言葉もなく釣りを続けていた。残り時間が三十分を切った頃、岡本凜太郎が山口拓海を連れて、どこかへ姿を消した。

中島結子は両陣営の釣果を目で数えていた。スヌーカーサークルの連中は、少なくとも十五匹は釣っている。それに山口夏美たちが以前確保した三匹を加えれば、計十八匹。対するダンス部は、総計で十五匹止まりだ。どう計算しても、山口夏美たちの勝ちである。

焦燥に駆られ、彼女は地団駄を踏んだ。

「どうしよう? このままじゃ負けちゃう!」

竹中萌香は空っぽのバケツを覗き込み、自らの不運を嘆いた。一時間以上粘って、一匹も釣れないとは。だがその時、妙案が閃く。彼女は中島結子の耳元に顔...

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