第6章

 九条雅視点

 兄弟喧嘩は十分近く続いただろうか。ホテルの警備員が踏み込んできて、ようやく二人は引き離された。冴島颯斗は嵐のように去っていき、後には混沌だけが残された。

 めちゃくちゃに荒らされたスイートルームに、今や私と冴島京介の二人きりだった。

 私はソファの隅で身を縮こまらせ、破れたブラウスを握りしめて身を隠しながら、涙を浮かべて体を震わせていた。

 冴島京介は部屋の中央に立ち、肩で息をしながら、血の滲んだ拳を握りしめていた。怒りに燃えていた彼の瞳が、私を見つめると心配の色に和らいだ。

「雅……」

 彼は優しい声で、一歩近づいた。

「怪我は?」

 私は彼の視線を受け止め...

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