第9章

 九条雅視点

 温かく、馴染みのある吐息が首筋にかかった。

 体が凍りつき、心臓が激しく脈打つ。ありえない。この島はプライベートなもの――他に誰もいないはず……。

「おはよう、雅」

 耳元で、深みのある低い声が囁く。その熱い吐息に、背筋が震えた。

 その声には聞き覚えがあった。

 いや、そんなはずはない。

「だーれだ?」

 ベッドの反対側から、もう一つの声がした。それもまた、聞き覚えのある、心臓が止まるような声だった。

 振り返ろうとしたが、両手首は柔らかく、しかし抗えない絹のロープでヘッドボードに縛り付けられていた。

「当てられなかったら罰ゲームだよ、黒崎夏那さん」

...

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