第20章 彼女は記者に囲まれた

中村司の車が道端に停まると、周囲の記者たちが一斉にカメラを向けた。

車のドアが開き、中村司が身をかがめて降りてきた。彼は濃い色のスーツを身にまとい、成熟した魅力と端正な顔立ちが際立っていた。

彼が降りた直後、後ろから高いヒールの靴が見え、白いロングドレスを着た女性が続いて降りてきた。

佐藤桜は林田夕子が中村司の車から降りてくるのを見て、二人が一緒に来たことを察した。

彼女の瞳孔が一瞬縮まり、少し息苦しさを感じたが、気持ちを整えた。二人が一緒に現れるのは当然のことだ。家柄が釣り合っているのだから。

林田隼人が最初に車のドアを開け、その顔が現れると、記者の一人が大声で叫んだ。「林田隼人...

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