第22章 誰かが彼女を支える

中村司は顔を上げた。「彼女に特別賞を設けるって?」

「そうよ。さっき兄から電話があって、もう一度実名で審査をやり直せって言われたの。でも、隼人兄のせいで、実名でやり直しても結果は変わらないと思うの。だから、佐藤桜に特別賞を設けることにしたの。仕方ないわ」

林田夕子はそう言い終わると、中村司の顔色をこっそり伺った。心の中では少し不満を感じていた。

実際、兄がなぜこんな指示を出したのか、彼女にもよくわからなかった。でも、隼人兄が関係しているのは間違いないと思った。これで中村司が佐藤桜と一緒になることはないだろう。

中村司は眉をひそめ、手に持っていたデザイン図を机に置いた。「佐藤桜のデザイ...

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